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2004年4月の1件の記事

■第1話

 ラクでの流れは、アメリカがイラクから出て行かざるをえない状況になってきたことは殆ど間違いないように思える。

 ブッシュは最後まで抵抗するだろうが、時間の問題でアメリカさえイラクから出て行けば、イラクに平和が訪れる動きに発展していくことは間違いない。他のイスラム諸国もそのことを大々的にアピールするはずだ。

 それがブッシュ十字軍を追い払った、イスラム連合諸国の一致団結した構図になるからだ。

 世界の殆どの国々は、アメリカ主導の国際政治よりも、国連主体の国連重視政策へ回帰するだろう。

 今の世界の流れから見ても、「イラク戦争」はブッシュとネオコンが引き起こした戦争であり、アメリカ国内でもブッシュ個人対する不満や疑問が様々な形で噴出している。

 世界の潮流がアメリカの中東からの追い出しにかかってきたら、おそらくアメリカは国連から距離を置く「孤立主義」に走る可能性が高くなるだろう。

 そこで問題なのは、アメリカがイラクの治安維持のためイランに助けを求めたことである。アメリカが掲げた世界のテロリスト国家の筆頭にもなっているイランを、事もあろうにアメリカは戦火の渦巻くイラクに呼び入れたのである。毒を持って毒を制する策略が何処かに見え隠れするが、結果的にイランの影響力をイラクに呼び入れたことだけは間違いない。

 これについては、戦略的に様々な分析も可能ではあるが、将来、中東の動きがイランを軸に回っていく布石になった可能性は否定できない。

 また、イラク戦争反対の急先鋒だったフランスが、もしアメリカがイラクから出て行った場合、間違いなくもう一つの中東の軸になるであろうことも容易に予測できる。つまりEUが中東におけるもう一つの軸となるのである。

 ところが、フランス同様にイラク戦争では殆ど泥に汚れていない大国が残っている。ロシアである。ロシアには大勢のイスラム教徒がいて、日本人が思う以上に中東とは深いつながりがある。

 昔、アフガニスタンに侵攻した際は悪の代名詞だったが、時は移って今では共産主義国は崩壊し、民主主義を標榜する穏健な国家に変った。このロシアが、中東からアメリカがいなくなったら、必ず主導権をフランスと争うことになるだろう。昔よりも穏健には見えても、基本的にロシアは巨大な軍事国家であることは間違いない。

 一方の中国もイラク戦争では反対国にまわったが、まだ中東とはそれほど太いパイプで結ばれておらず、華僑もあまり中東では人気が無い。

 中国が動き始めるのはロシアとフランスが互いに力を拮抗させてからだろうし、アメリカが出て行った後にスグ火中の栗を拾いに出て行くより、落ち着いた後で最後の漁夫の利を取る戦略をとるだろう。何と言っても三国志の生みの親は中国なのだ。三つ巴は慣れている。

 ではアメリカはと見ると、アメリカはたとえ共和党であろうと民主党であろうと、それほど国際政治の上では大きくぶれない。

 アメリカは石油を奪うため必ず中東において起死回生を狙ってくる。それには同じアングロサクソン国のイギリスが必要で、たとえ一時的に中東から追い出されても、いずれ必ず復活を期して再登場してくる。

 その時のアメリカこそ、危険この上ない国家に変貌していると思われる。そういう中で、日本はどういう舵取りを迫られるのだろうか?■

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