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■第6話

 更、日本の素人同然の“外交下手”を取り上げるつもりも無いが、国際政治が「正義の名の下」に執行されると、心のどこかで思い込んでいる日本人にはいい加減にウンザリする。
 この国の人間は、どうしてこうも次々と稚拙で下らない神話を作れば気がすむのだろう。
 何度も言うが、国際政治は軍事力を背景とする「パワーバランス」で成り立っている。軍事力のある国が、弱小国家を力で支配する構造が国際世界の現実なのだ。軍事力の無い国や地域は、アフリカを見れば分かるように、世界から取り残されるばかりか全てを奪いつくされる。
 “奇麗事”は、その後でついてくる。NGOもNPOも様々なボランティア活動も、極論すれば爆弾の穴埋めと同じで、それでもしないよりもましという程度だ。
 国際会議で言うなら、未だに国を上げて「自衛隊は軍隊ではございません」と平然と言ってのけ、詭弁を弄するような国が出てくる世界ではないということだ。

 日本人は今まで何でも金で済ませてきた。福田前総理大臣(自民党)を筆頭に、「命は地球よりも重い」という迷言を掲げ、テロリストに莫大な金を支払い、最近でもマラッカ海峡の海賊集団に莫大な金を支払った。
 臭いものに蓋で奇麗事好きの日本人には、その金が次のテロを生むことなど考えたくもないのだろうが、あるいは日本人お得意の、旅の恥は掻き捨てということかもしれない。
 日本は、「私たちは平和をこよなく愛する国民でございます」と、手もみしながら世界に言い続けるが、その裏ではアメリカの軍事力に守ってもらっている。
 「私どもは核廃絶を唱える国家でございます」と言いながら、裏でアメリカの核の傘に収まり、北朝鮮から身を守ってもらっている。更に、日本に立ち寄るアメリカの原子力空母に核兵器が搭載されているのは国際戦略上自明の理で、沖縄の在日アメリカ軍基地を筆頭にして、本土にも百発近い核兵器が備蓄されている。しかし、「非核三原則」というお経を唱えているのである。こんな馬鹿な国は無い。言い換えれば裏表がある国民性ということだ。

 こんな嘘と詭弁の奇麗事だけの日本に対し、世界はいい加減に白けている。
 その典型が、今回の「6カ国会議」にも表れている。日本は6カ国会議の席上で子ども扱いである。今や韓国や北朝鮮にも見下され、蚊帳の外の扱いで、話にも参入させてもらえない。やることはアメリカから情報をもらうだけ・・・・・。
 この体たらくはある意味で当然だ。自ら「自衛隊は軍隊ではない」と公言するような国に軍事交渉に関する会議の発言権は無い。
 パワーバランスの無い国など、門前払いも当然で、正直言ってお呼びではないし、お経を読むなら寺でやれというのが他の国々の本音だろう。

 実際、自衛隊など基本的にどの国も本音では恐れてなどいない。自衛隊には攻撃に欠かせない上陸用舟艇も無ければ、長距離飛行に不可欠の戦闘機空中給油システムも無く(現在自衛隊で考慮中)、爆撃機すら無い。日本でライセンス生産されるFー15やFー16も、空対空兵器しかなく、対艦・対地攻撃兵器を全く持っていないのだからお粗末以前である。
 これでは、「日本は攻撃を受けても、そちら様の領土への攻撃を全て放棄致します」と公言しているようなもので、これでは逆にちょっかいを出してやろうとする国が出てきてもおかしくない。そんな自衛隊を北朝鮮が恐れるはずも無く、だからいくらでも日本を馬鹿にできる。脅せば手足が縮こまって何もできなくなるからだ。

 北朝鮮や中国が唯一認めるのはアメリカであり、アメリカの軍事力である。だからアメリカは会議では最も尊敬され、日本は最も軽蔑される。国際会議において、パワーバランス感覚の無い国は無能と見なされるからだ。
 今やアジアの弱小国でも、自衛隊が“張子の虎”ということを知っている。だから6カ国会議以後、アジアの様々な国々は、日本を舐めてかかってくる可能性が高い。
 中国、韓国+北朝鮮が大々的に日本をアジアの面汚しであり、村八分にしても当然の国と大々的にPRを開始するからだ。

 実際、今まで日本人は自ら「ATM(自動支払機)の立場」に貶めてきた実績がある。
 この日本というATMは、軍事力行使もできないばかりか、何をされても「会話と圧力」というお経をつぶやくだけで、北朝鮮に対しても何一つ圧力をかけることもできない。そういう国ということが、アジア中に知れ渡ってしまった。
 だから、ATMは蚊帳の外に置いておくのが当然で、ロシア、中国、韓国、北朝鮮は、6カ国会議で様々な割り振りを決め、後になって自由に日本の金を引きずり出す・・・・・そういう話し合いが行われているというのが現状と思われる。

 日本のマスコミはまだ気づいていないが、なぜ小泉内閣がアメリカ指導の下で「郵政民営化」を急ぐのかというと・・・・・その裏には、北朝鮮に支払う莫大な資金を必要とする事態に、日本を備えさせる事情が隠されている。
 アメリカは、北朝鮮の核を日本のATMを使って買う段取りで交渉し、北朝鮮を納得させようとしている。そのためにも、まず日本経済に郵便局の莫大な浮遊資金を流通させないと、アメリカが交渉で困るのである。反小泉の議員たちも、別にそのことで猛反発しているとは思えない。彼らは程度の低い“私憤”だけで噛み付いているだけだ。

 韓国もアメリカと同様で、北朝鮮に対して見返りで送る膨大な電力供与の電気代を、日本のATMを使って払うつもりでいる。国際感覚音痴の日本人はいい面の皮で、もはやサンドバッグになるのは目の前だ。
 「ATMとして使ってやるからそれまで黙っていろ」
 それが4カ国の流れであり、アメリカもいざとなれば一枚かんでくる。
 日本は、自ら武力と外交武力を放棄し、丸裸で国際パーティの席に出てくる以上、マナーからしてパーティに出る資格は無い。裸では門前払いが当然だからだ。

 「拉致」・・・・・そんなものは、今まで拉致を許してきた日本が悪いのだ。犯罪でも1度目までは加害者が悪いが、2度目以降は犯罪を容認し続けた被害者が悪い。
 未だに「スパイ防止法」を作ろうともせず、今も自衛隊の存在を嫌悪し、蔑ろにしつづけ、寝ぼけた行灯のように平和ボケした日本人が悪いのだ。

 そんな国際感覚音痴の日本人の“付け”を、「国際会議」に出してくるような国も国だし、実際に愚かである。拉致問題は容認したお前の責任だ。世界はそう言っている。
 一見するとアメリカは「拉致」で日本を擁護しているかに見えるが、それはアメリカにとって「拉致」が北朝鮮カードの1枚として使えるからに過ぎない。
 その姿勢を見て、アメリカはいい国だと喜ぶ日本人の感覚は稚拙で、カードとして効力が無くなれば、アメリカは拉致などどうでもよくなる。日本の問題でお終いだろうし、自己責任を問われるのは日本の方だ。

 しかし、馬鹿には馬鹿の論があり、「拉致問題の解決」をATMのカード発行の資格として最後まで押し通すことだ。その意味で、6カ国会議で「拉致」「拉致」と言い続ける馬鹿の一つ覚えは、後になって効力が出てくる。
 しかし、日本がATMとして使用される時、ロシア、中国、韓国、北朝鮮の包囲網から放たれる「協定違反」の圧力を、ATM好きの日本人は果たして耐えられるのだろうか。
 アメリカも、「日本は、朝鮮半島の非核化を求めた6カ国会議の決議を遵守するよう」強制してくる可能性があり、アメリカに何もいえない日本に勝ち目は無いだろう。

 「朝鮮半島の非核化で恩恵を受けるのは日本だ。北朝鮮が同民族に核を放つわけは無く、中国に向けて放つわけも無い。我々は日本のために汗を流したのだぞ!」
 「金を出し渋り、我々の献身的な努力を水泡に帰すつもりか!」
 これでチェックメイト・・・・・今までのATM好き日本人の付けが回ってくる瞬間だ。
 アメリカも、ロシアも、中国も、韓国も、北朝鮮も、基本的に金を出さずに済む。そのため、後の事は気楽である。口だけ出せばいいからだ。

 それでATM日本が役目を果たさない場合、丸裸好きの日本人を四面楚歌で締め上げ、中国などは軍事力で脅せばいいと考えている。その場合、アメリカも決議案の存在から、ある程度まで容認するだろうし、自衛隊も反撃してこないのだから、中国はやりたい放題で自由に行動ができる。

 国際舞台で日本をこういう立場に追いやった責任は誰でもない、日本人自身である。日本人は、この時はじめて自分が「裸の王様」だったことに気づくだろうが、いつもの通りに手遅れである。
 本来、北朝鮮を裸の王様にしなければならないはずが、パワーゲームの一つでもある経済圧力すら無視した結果が、この体たらくを導く。
 いやな結末にならねばいいが・・・・・・平和ボケした日本人に鉄槌が降る日は近いのかもしれない。

 [以上は予想される最悪のシナリオであり、必ずしもそうなるものではないが、可能性としては決して無視できない結末の一つだ]■

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