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■第26話

 主党は社会党化してきたし、自民党は選挙を党利党略に利用して政治の本道を捻じ曲げている。民主党については別の機会に譲るとして、とっくに賞味期限が過ぎた自民党の腐敗は更に極まってきたようだ。
 小泉純一郎が口約束した「構造改革」も、蓋を開けてみれば、従来型の「看板挿げ替え」に終わり、ぶっ壊すはずの「社会保険庁」も存続が決まり、道路公団の民営化も中途半端で、かえって天下り先が増え、国家公務員の格安宿舎も、無くした尻から新規で新築する始末である。

 問題は、自民党と官僚が押し進める政策に反旗を翻せば、即逮捕も辞さない道を開く「共謀罪」の法制化にある。自民党は、相も変らぬ玉虫色の発言でダラダラ嘘八百で誤魔化すが、それは方便なので信用してはならない。
 共謀罪は、戦前の「治安維持法」と同じで、解釈次第ではどうにでも変貌させることが可能になっている。小泉が、イラク派兵を解釈拡大だけで遂行させた手法を思い出せばいい。
 共謀罪の暴走を防ぐため、民主党は「国際事件(テロを含む)に限る」の一文を加える提案を出しても、自民党はそれを認めない。是が非でも国内事件を中核に据えたい構えだ。

 その理由は、イギリスも国際事件に限る一文に反対するからだという。しかし、それは全くの詭弁である。
 イギリスの場合、難民を受け入れない日本とは違い、国策からイスラム教徒を多数受け入れてきた。その結果、イギリス生まれのイスラム教徒のテロリストが多数現れ、共謀罪で逮捕する場合、国際テロ事件に限る一文が邪魔になる事情がある。
 それを無理やりに自民党が、難民受け入れを国策にしない日本に適応させ、国内問題に共謀罪を用いようと目論んでいるのだ。
 公安も、左翼の弱体化で存在価値を無くしつつあり、共謀罪で新たな権力を手中にできるメリットがある。公安の最終目標は、戦前のような権力を行使できる「特高警察」だからだ。
 今はそんな時代ではないと高をくくっている人は、頭が悪いとしか言いようが無い。能天気もいいところだ。

 自民党が共謀罪を法案化したい理由は簡単である。自民党の存続を長引かすためなら、何だってやるということだ。つまり今の自民党は、政治ではなく党利党略が最大の目的となり、そのためなら国政選挙さえ利用する。
 前の衆議院選挙を思い出せばいい。小泉派VS反小泉派という自民党内の問題を、国政選挙にまで拡大させ、「YESかNO」を問うただけなのだ。民主党の大敗北はオマケであり、民主党に有能な参謀がいなかった結果だ。

 そして、小泉劇場と名を打ち、様々な自民党の修羅場を見せることで、自虐趣味に陥り欲求不満と視野狭窄にある国民を喜ばせ、素人のバカでも勝った大勝利を呼び込んだ。あの時、国民は騙された。自民党は変わったというのは誤魔化しに過ぎなかった。
 それが過ぎたら、今度は、切り捨てたはずの抵抗勢力をさっさと自民党に呼び戻してしている。つまり前の選挙は改革でも何でもなく、衆議院選挙用で自民党が圧勝するだけの舞台に過ぎなかったのである。
 それを自民党は・・・・・政治とはこういうものだと嘯き開き直る。

 しかし、これは選挙を悪用した国家的詐欺以外の何者でもなく、選挙を悪用した最も悪辣な政治への冒涜なのだ。
 国民を党利党略に巻き込みながら、政治を私物化するのが自民党の戦略であり、それを分からない国民は、戦中の大本営発表を信じ続けた姿と同じに見えてくる。■

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