■第44話 日本外交が連戦連敗する理由
アメリカは、国内のブッシュ・ジュニア人気の低落を受け、テロ支援国家だった北朝鮮と手を組む策にシフトした。あれほど厳しく締め上げてきた「金融制裁」も手放し、ひたすら北朝鮮の核放棄をお願いする立場に回ったのだ。
いい加減といえばいい加減な態度だが、外交とはそういうもので、状況で流れはどんどん変っていく。ましてアメリカの大統領は、選挙で選ばれた以上は人気商売であり、国民の批判を無視できない。だから欧米では、流動的な国際舞台で、国の方針や外交姿勢がある程度変っても当然とされる。(一方、国内政策における変貌だけは許されない)
私の知るかぎり、首尾一貫した外交姿勢を美徳とするような国は、日本とイスラエルぐらいで、だからこそいつも日本は“外交の世界で敗北”する。つまり国際情勢の流れを読めないのだ。読んでも国民の怒りを買うため行動に移せない。
先の大戦でも、「八紘一宇」のスローガンを掲げ、「鬼畜米英」からアジアを開放し、天皇制で世界を統一する美しさにかられ、まさにレミングの群れと化して世界を敵に回した。特に長州(山口県)出身者を中核とする日本陸軍は、当時の日本政府の意向を完全に無視し、中国本土を蹂躙しつづけ、最終的に日本を敗北に導いていく。つまり一点集中を美とする暴走である。
「止まっているときは大人しいが、一端走り出したら止まらない」のが日本人で、そうなったら最後、応用も柔軟性も皆無となる。一丸となることを強要し、他の意見を徹底排除するのだ。
筆者が心配するのはそこで、「拉致問題」についても、日本の世論は一切の妥協を許さない。しかし、北朝鮮の立場に立てば、偽ドルの版をある日本人に作らせており、軍事&スパイ活動の中核に日本人がいる以上、返せないという事情もある。そんなことは関係ない、拉致は犯罪なので家族に返せというのが今の日本人の態度だ。
戦前の日本人も、欧米列強のアジア人に対する人権無視の植民地政策に、憤怒の念を覚えていた。だから血気に燃える若者たちは「大東亜共栄圏」の確立のためなら、命を投げ出してもかまわない気骨で戦争に参加したのである。つまり、当時の日本人の態度は当時なりの正義だったのである。
正義は美徳であり、だからこそ一切の妥協があってはならないとする。だから捕虜となる行為は恥じであり、「生きて虜囚の辱を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」(本訓其の二第八「名を惜しむ」)につながり、最後は、最大の人命無視・人権無視を極めた「特攻」と「玉砕」へとつながっていく。しかし、日本では最上の美徳とされた。つまり当初の美しいはずだった正義への追求が、最悪の自己崩壊へと向かったことになる。
それと同じことが拉致問題にも匂ってきており、少々心配している。こういうことを言えば、当時と同じように顰蹙を買い、「非国民」のレッテルを貼られそうだが、国際外交に正義や頑なさを持ち込んではならないのはあたり前で、他国には他国の正義があり美徳がある中、それでは唯我独尊になって何も解決できなくなる。だから「外交は妥協の産物」といわれ、妥協はあたり前の世界なのだ。むしろ妥協は必須となる。
その意味では、猪突猛進型の日本人に国際外交はできないことになる。だから今も全ての外交戦略において日本は敗北をつづけており、今でもそれがつづいている。唯一できる日本の外交手法といえば、”寝ぼける”こと、つまりノロノロと”つかみ所の無い態度”を貫くことぐらいしかない。
今も日本は受身の面で鎖国状態にあると言えるのかもしれない。拉致問題についても、ある程度の妥協をしなければ、日本は国際外交のイロハも知らない笑い者になってしまうだろう。それをわきまえて、日本は北朝鮮への経済協力を値引きし、どんどん差し引いていけばいい。それでも戦後賠償を払ったことには違いないのだから。
どうせどうにもならないのであれば、少しでもマイナスをプラスに転化させることが外交ということを日本人はもっと知るべきだろう。
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