■第50話 政治のけじめ問題
昨日、安倍(前)首相が突然辞意を表明し、多くの人々が呆気にとられた。
と同時に、「安倍氏に責任は無く、身内である閣僚や自民党議員の不祥事が結果的に安倍首相を辞任に追い込んだとする空気」が出はじめている。
安倍氏の責任といえば、空気を読めないKY、つまり裸の王様ということぐらいしか無いという。数ある意見の中で、やはり安倍氏に同情する声が巷から聞こえ、特に地元の山口県では、「可哀相に」「もう少しやらせてあげたかった」という声が幾つも聞こえてくる。
おまけに、「安倍氏は病を押してまで頑張っていた」という、いかにも日本人好みの浪花節さえ出てきて、さらに、「安倍氏が心を割って話したいと願い出た行為さえ、小沢氏が蹴った」という情報まで流れては、いかにも民主党が悪者に見えてくる。
こういう同情論は政治的には非常に危険である!!
かつての「5・15事件」の首謀者たちは、国民や裁判官から、感涙を誘うほどの同情を得ていた。「彼らは貧しさを生み出した腐敗政治に毅然と立ち向かった者らであり云々」の語るも涙の同情論がそれだ。当時の犬養首相(軍国主義化に反対する立場)を射殺した蛮行より、貧しさに立ち上がった勇気の方を優先したのだ。
裁判所に、「彼らを死刑にしないで下さい」という国民の嘆願書が山ほど届き、これで調子に乗った陸軍が「2・26事件」を起こし、軍国主義が日本を制覇する切っ掛けとなった。
「文化大革命」の狂気に走らせた、毛沢東の「造反有理」「革命無罪」も、ある意味これと同じである。
日本では、厳格な「規律」よりも「人情」を優先させた。
日本人はコレを平気でやってしまう傾向があり、さらにやっかいなのが「義理」である。日本人は歌でも「義理と人情を秤にかけりゃ、義理が重たい男の世界」を美徳とし、ついには「太平洋戦争」まで起こす。義理が最も重いなら「ヤクザ」こそが聖人だろう。
人々は忘れているが、安倍内閣になってから、幾つもの重要法案が次々と「強行採決」され、そのうちの半分近くは将来の禍根になるとされている。
さらに、アメリカの命令で安倍氏が死守したかった「特措法」を認めたら最後、「国連決議のみに自衛隊を派遣するという大前提」が崩れ去り、アメリカ単独で起こした「イラク戦争」に日本が協力した功績を盾に、一気にアメリカが「国際協力」の美名でなし崩しにかかってくる!!
アメリカが言う「国際協力」とは「アメリカに対する協力」をいう。アメリカは自国が国際、つまり世界と考えているからだ。だからアメリカは世界をアメリカ化しようと画策し、平気でグローバルスタンダードを押し付けてくる。
一方、日本人は、昔から平気で義理と人情論を表に出し、厳格な裁きを有耶無耶にする民族性を持っている。
アメリカは、そんな日本人の性癖を知り尽くしていることを忘れてはならない。アメリカは、日本人をマインドコントロールする術を知り抜いているからだ。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- ■C-47/イスラエルのイヤルの月が第三次世界大戦勃発の引き金!!!!!!(2014.04.07)
- ■Bー14 パンデミックへの前哨戦(2009.05.01)
- ■第67話 捕鯨問題&人種差別問題!!(2008.01.19)
- ■第51話 日本の伝統という名の虚像(2007.09.18)
- ■第50話 政治のけじめ問題(2007.09.13)