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■第48話 文民統制!!

 衛隊が、「防衛庁」から「防衛省」に格上げされたことは、単に看板が変わっただけのことではない。

 俗世間的に分りやすくいえば、子会社と本社ほどの違いがあり、省への昇格で、閣議案件の独自提議、省令の制定等が可能となる。つまり権力が拡大するのだ。

 国際テロなど、世界規模の安全保障事態への対応や、行政事務の迅速化と簡素化、効率化等も可能になり、独自権限が発揮できることになる。

 自衛隊のような自衛(戦争)を目的とする武力集団に対する歯止めを、「文民統制(civilian control」、あるいは「文民優越制(civilian supremacy」という。意味は、武力集団暴走抑制装置とでも言うところだろう。

 「文民」とは、職業軍人でない全ての者をいう。分りやすく言えば、文民の代表である「内閣総理大臣」とその他の「大臣」を指し、「日本国憲法第66条」にそれが規定されている。つまり、自衛隊の最高司令官とは防衛大臣であり首相となる。

 しかし、かつて日本はそれを簡単に覆された歴史を持っている。

 1932年(昭和7年)5月15日、海軍将校ら武装集団が、犬養毅首相宅を急襲し、首相を一撃で射殺し、別動隊が牧野伸顕内相官邸を襲い、警視庁や変電所を襲って首都を混乱させた。これが「5・15事件」である。

 1936(昭和11年)2月26日、陸軍の青年将校ら1400人が軍事クーデターを起こし、首相官邸や大臣宅を急襲、多くの政治家を撃ち殺した後、東京を4日間に渡って占拠した事件が起きた。これが「2・26事件」である。

 もちろん、その頃の日本は、1885年(明治18年)以来、「陸軍大臣」に将官(武官)がなり、陸軍大臣が反対すれば閣議決定ができず、陸軍が大臣を推挙しなければ内閣も組閣できない事態に陥っていた。

 が、最近の自民党の体たらくと比例するように、防衛省への文民統制に黄色信号が点りはじめている。

 小池(前)防衛大臣と守屋(前)防衛事務次官の権力闘争が表面化したことだ。

 これは文民統制以前の問題だが、少なくとも小池(前)防衛大臣は守屋(前)防衛事務次官の上に立つ大臣である。シビリアンコントロールが正しく機能していれば、たとえ守屋氏が防衛省の天皇と称される存在でも、大臣命令は絶対のはずである。公僕とはそういうものだし、国民の代表に仕えることが国民に仕えることである。

 にも関わらず、守屋氏が不満を言いに、官邸へズカズカ入り込むと、安倍内閣(当時)は守屋氏と会見するという、本末転倒の体たらくぶりを発揮する。たかが官僚一人をコントロールできない政府とはいったい何なのだ?

 官僚一人でこの程度なら、やがて自衛隊が「自衛軍(国軍)」となり、軍人という名称が正式に認知された状態で、今のような政府が軍人を抑えきれるとは到底思えない。

 簡単に言えば、「アメリカはそんな自衛隊を後押してアメリカ軍の先鋒に利用しようと画策し、自衛隊はそんなアメリカを利用して、さらなる権限を獲得しようとしている」ということである。防衛庁時代から、“自衛隊の様々な動きに反対する人間のリスト”を作成しているのも、その一つの動きに過ぎない。

 日本はそんな危うい状況に差し掛かっているということだ。

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