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■第99話 歴史は捏造が当たり前

 空自衛隊トップだった田母神(たもがみ)俊雄航空幕僚長は、戦前戦中の日本を指して、「侵略国家ではなかった」と発言し、政府見解と相容れないとして更迭された。

 それだけを聞くと、彼の歴史解釈が異状のように聞こえるが、発言の全文を読んでみると、田母神氏が言わんとしたことは、大体以下の要点でおさまる。

日本だけが侵略国家ではない。英仏米も世界に冠たる侵略国家だったにも関わらず、日本だけが唯一の侵略国家とされているのは問題である。

②1928年に起きた「張作霖爆殺事件」は、これまで日本陸軍の仕業と決め付けられたが、旧ソ連で発見された数々の資料から、毛沢東が日本軍と蒋介石軍を戦わせ、両方が疲弊した後、中国全土を共産化させる計画で仕掛けられたことが判明した。

③中国と朝鮮半島への侵出も、アメリカによって慎重に仕掛けられた罠(最後はパールハーバーで仕上げられた)だったと公表。

④「日米安保条約」は認めるが、自国を自分で守る体制をもつことを異状と思う国はおかしく、抑止力が外交交渉の後ろ盾になる国際常識も日本は完全に欠落している。

⑤「大東亜戦争」を肯定的に評価する国は、タイ、ビルマ、インド、シンガポール、インドネシアで、当時の日本の行動に対する評価も高い。日本は欧米のような侵略植民地主義で人々を支配してこなかったからだ。(インフラ、大学、農業改革等を列挙)

⑥現在の自衛隊については、「集団的自衛権」も行使できないと指摘し、集団的自衛権の行使を「違憲」とする政府の憲法解釈に疑問を呈している。

 筆者は、良い子ぶる日本のTVや新聞のように、田母神氏の言葉を一方的に異状とし、眉をひそめる気は全くない。なぜなら歴史は嘘の積み重ねで作られているからで、古今東西すべからく、国家に都合のいい物事だけが歴史になっている

 しかし、以下のことだけは容認できない。

 自衛隊のイラク派兵を違憲とする「名古屋高裁判決」に対し、「そんなの関係ねえ」の一言で無視した態度は、軍事力を支配する「文民統制シビリアンコントロール)」の意味から暴言ととられても仕方がない。というか「三権分立」の意味からしておかしい。

 が、それでも行政トップの自民党政権が、名古屋高裁判決を無視した以上、同じ行動をとったと思えば、防衛省長官の趣旨に従った言葉だったともいえる。

 むしろ問題なのは、1995年に行われた、社会党(当時)の村山富市首相による「村山談話」で、日本(だけ)を「侵略国家」と断定し、アジアに迷惑しかかけなかったとして土下座を決定付けたことだ。勿論、左翼新聞の「朝日新聞」が大喝采を送ったことはいうまでもない。

 その前にも、自民党の「河野内閣官房長官談話」があり、それによって韓国の従軍慰安婦を日本が歴史的事実として認める大失策を演じた。

 あれは従軍慰安所ではなく売春宿だったのが事実で、そんなものは世界中に存在したが、日本だけが作ったという誤った解釈を世界中(特にアジア中)に送ってしまった。

 かくして、歴史は完全に捻じ曲げられ、NHKも日本の韓国併合を併合とはせず「植民地政策」の言葉で統一し、以後、歴代の自民党政権も、「村山談話」を踏襲することを、毎回、世界に向けて表明する羽目に陥っている。

 それはそうだろう。一度地に落ちた自民党が、水と油だった社会党党首を首相に迎えることで政権を奪えた以上、村山談話に抵抗できるはずがない

 かくして、事実を掘り返そうとする人間を、ジャーナリズムの牙城であるはずのマスコミがよってたかって叩き潰そうとするに至っている。だから田母神氏は、「これでは北朝鮮と同じではないか」と発言したのであろう。

 筆者は、日本にジャーナリズムは存在しないと考えている!!

 「独裁国家」や「共産主義国家」なら別だろうが、先進国で国の方針と違う発言を許さないジャーナリズムなど、日本以外の何処に存在するだろうか?

 戦前の日本のジャーナリズムも国策重視の一辺倒だったことを思えば、何をかいわんやである。

 勿論、良い子ぶるマスコミはこぞって、「我々が問題視するのは閣僚や政府内部に異論を呈する人間がいることである云々」と誤魔化すだろうが、それは詭弁である。

 それは野党の仕事でマスコミの仕事ではないからだ!!

 マスメディアの真の役目は、一政治家の談話が踏襲されているか否かではなく、むしろその政治家が語った内容が事実か否かを追求することにあるはずだ。それこそジャーナリズムの第一義のはずだが、その点から日本のジャーナリズムは最初から死んでいるのである。

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