■Bー67 中東反政府運動の裏にNSAがいる
中東で燃え広がっている「反政府運動」は、最初、チュニジアで火が付き、エジプトに燃え広がった後、リビアが炎上し、さらにベイルート、シリア、イラン、サウジアラビア等々と勢いが止まりそうにない。
日本で眺めていると、中東の一連の流れは「民主化運動」の一環で歓迎されるように見えるが、果たしてそうなのか?
中東の優等生と呼ばれたエジプトでさえ、ムバラクを追い出した後、軍が一時的に政府を代行する暫定政権だし、安定政権も無ければ、まともな野党勢力も無い有様だ。
ムバラクが長期独裁政権を維持するために、野党勢力を徹底的に弾圧してきたからである。だからエジプトは平和時でさえ戒厳令下にあった。
リビアに至っては、カダフィ大佐の個人独裁の下、政党政治の類は全く存在しない国家だった。カダフィが左といえば左、右といえば右だけの国だったのである。こういう国では憲法は独裁者の言葉となる。
中東の石油産出国の多くは、王族やイスラム教少数派が多数派を支配する体制で、今の動きが野火のように燃え広がったら、中東全域が内乱状態に陥ることは目に見えている。それを政治的空洞化といってもいい。
問題なのは、石油価格の上昇という目先のことではない。
中東各国で欧米式の民主選挙が実施された場合、その多くは「イスラム原理主義」を標榜する政党が一気に台頭することが予感される点だ。イスラム原理主義といえば、スグに思い浮かぶのが「アルカイダ」だろう。
おそらく中東各国で自由選挙が実施されたら最後、イスラム原理勢力が政権を掌握し、中東各国の原理主義政党が手を結んで、中東全体を支配する構図が完成することである。その可能性が極めて強い!!
そうなれば、中東の石油はイスラム原理主義運動の道具にされるはずで、イスラム原理主義に反対する国に石油を売らないことになる。
特に日本のように石油が無い国は、最大の被害を受けることになる。その対極に位置するのがアメリカである。
日本は戦後一貫してアメリカの言いなりで押し通し、アメリカに逆らえない国に堕落した。結果、自分の国の国防すらおぼつかない最弱国家に落ちぶれてしまった。
日本は今のままならイスラム原理主義とアメリカの狭間で沈没することになる。イスラム原理主義に付くと石油は得られてもアメリカの核の傘から追い出され、アメリカに付くと中東の石油がストップする!!
どちらに付いても日本はお陀仏なのである!!
今まで「平和だ平和だ♪」と踊り狂ってきた付けが、国際情勢の変化に付いて行けず、ズタズタに引き裂かれて墜落してしまうのだ。というより、今の低能政党同士の陣地争いを見れば、日本の未来など無いに等しいことが分かるだろう。
下手をすれば日本は、アフリカのナミビア以下にまで低落する。
ここから先が本番である。中東で燃え広がる唐突な反政府運動の原因を考えると、使われたツールの全てがアメリカ製ということである。パソコンは砲弾の着地点を計測するための軍用計算機としてアメリカで発明され、ネットもアメリカの軍事システムとして開発されたものだ。全米の通信ラインが寸断されても、ネットでラインをカバーすることがインターネットを生み出した。
最近、世界を制覇しつつある「フェイスブック」もアメリカ製で、そのスキルで一人の人間の声が、フォーラム構造の中で鼠算指揮に拡大した。
ムバラクの秘密警察が、ナリスマシでフェイスブックに侵入し、膨大な書き替えによってフェイスブックのネットを遮断していったが、数百万を超えるユーザーの更なる書き替えによって、秘密警察はお手上げ状態に陥った。
なにより最大の問題は、「国境なきハッカー集団の/アノニマス」と名乗る謎の集団だ。
アノニマスは個人的なハッカーが集団化した擬似組織と思われているが、どうもそうではなさそうなのだ。アノニマスの背後にアメリカの影がちらつくのである。
特にネットを裏で支配するアメリカ最大の諜報機関「NSA/国家安全保障局」の存在が見え隠れするのである!!
となると、妙な構図が見えてくる。
「一見、安定していたかに見えた中東イスラム圏を、アメリカ製のデジタルツールによって民主化させ、イスラム原理主義政党が中東全域で拡大する運動に、アメリカのNSAが加担している」
つまり、今起きている中東の反政府運動の嵐は、アメリカが“悪意の目的”を持って起こしているとことになる。
その悪意とは、アメリカが中東を炎上させた後、全面撤退すれば、燃えさかる炎から栗を掴むのがEUになるからである。EUから見れば、燃えさかる火災現場は地中海を挟む対岸で、(放火魔アメリカによる火災を)自分たちで何とかしなければ大変な事態になってくる。
そこでフランスとドイツ(特にフランス)が、アメリカが抜けた中東に、リスク覚悟で乗り出してくる。
EUが乗り出さねばロシアが中東に入ってくるし、さらに資源強奪者の中国まで介入してくるからである。
結果、EUがアメリカの後釜に座る方がいいと判断し、火事現場に乗り込んでくる。
これがアメリカの仕掛けた罠なのである!!
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